Project story

02

グラン レ・ジェイド等々力

継承と想像。
あらゆる意匠が創り出した結晶。

豊かさとは何か。美しさとは何か。
ただ開発するだけでは実現できない、
ものづくりへのこだわりが実現した理想。

Members

髙橋 亘Takahashi Wataru
首都圏開発事業部 首都圏建築企画部 チーフ
2015年度入社

First

#01
等々力という立地に
目をつけた狙い。

東京23区の中でも唯一の渓谷である等々力渓谷。そこは、緑豊かな環境に加え、生活に必要な施設を兼ね備えた利便性の高いエリア。趣があり、なおかつ高級感漂う、閑静な住宅街の中に空いた一つの土地。そこに訪れた建築企画部の髙橋は一言つぶやく。「隣は競合企業のマンションか…」。仕入れた土地には、隣接するかたちで同業の物件が建ち、日本エスコンの力が試される。そして、髙橋のものづくりの精神へ檄を飛ばすように代表からは、「競合を超える理想を実現するんだ」とメッセージが送られた。髙橋はこのプロジェクトを成功に導くべく、入念なフィールドリサーチを開始した。

Research

土地の魅力とポテンシャル。
調査の中で得られた鍵。

仕入れた土地は、東急大井町線『等々力』駅から徒歩約12分。敷地面積は約2,000平米。高さのある木々に囲まれている空き地。近傍のマンション価格は年々上昇している。希少性の高い、いわゆる『ピン立地』だ。髙橋は「この土地は可能性を秘めている。きっと理想が実現できる」と、すでに確信していた。駅からの導線、土地に面した道路、近隣の人通り。フィールドワークで得た情報をもとに、髙橋を筆頭に、チームでアイデアの風呂敷を広げた。「どんな仕様にしていこうか」「地域の雰囲気に合う企画にしよう」「デザインの方向性はどんなものがあるだろう」。外観や共用部だけでなく、外構にも趣向を凝らしていく中で、一つの軸が定まった。目指すべきは、富裕層をターゲットにした『住』。そして、日本エスコンが展開する分譲マンションブランド『レ・ジェイド』シリーズ最上級の『グラン レ・ジェイド』としての販売プランだ。

Second

#02
既存の環境を継承し、
周辺の景観も活かす発想へ。

髙橋はこのプロジェクトのポイントをこう語る。「この立地のポイントを踏まえて導き出したのは、仕入れた土地周辺の環境を活かし、閑静な住宅街の中で『目立つ』のではなく『佇む』ことが重要だという点です」。建築基準法に定められる高さ制限の緩和を受けて、緑地の面積を土地の半分程度まで広げ、外構に豊かさを創出。植栽には国分寺崖線である等々力渓谷の緑をイメージし、周辺地域との色彩や植生を考慮してケヤキやクスノキなどの雑木系を選定。こだわりはこれだけではない。自らの人脈をたどって老舗メーカーへの交渉を行い、外壁のタイルには土の質感と自然な窯変が現れる明灰色の無釉タイルを通常より低コストで採用できたことも話す。「同じ色が存在しない、すべてが1点ものであるタイルを用いつつ、隣地住宅との調和を図る色合いを意識しました」。街区一体の環境向上を見据えて、意匠を尽くす。等々力を彩る建物の一つとして、まちづくりへの貢献を果たすアイデアは次々と賛同を得ていく。

Decision

こだわりが集結した、
言葉では言い表せないコンセプト。

建物のどの要素一つ取っても、日本エスコンならではのアイデアが息づいている。それは、エントランスの意匠性(デザイン)だ。「以前建築への知見を深めるために、会社でのヨーロッパ海外研修の時に得た、パリにあるホテルのエントランスイメージを工夫して取り入れました。入り口では奥の空間をあえて見せず、中に豊かな共用空間を用いるというものです」。髙橋は研修で得た知見をアイデアへと昇華させ、閑かでありつつも奥行きあるエントランスを考案した。あらゆるこだわりを集約していく中で、一気通貫していたのは理想を追求すること。だからこそ、チームで日夜、企画を練りつつも反発し合うことなく、一言には収まらない理想像というコンセプトが策定された。

Third

#02
等々力に佇む、
徹底的な“計らい”の形。

「『グラン レ・ジェイド等々力』のキーワードは継承と想像です。目新しさの追求だけでは具現化できないデザインは、泥臭くも実直な企画とプロセスが支えていたからこそのものです」。分譲マンション開発において、設計監理や見積図作成を行う設計事務所と、外観や共用部の意匠を決定するデザイナーは、分業することが珍しくない。しかし、「図面だけでは見えてこないものがある。模型を作ってイメージを少しでも具体的にするべきだ」という想いのもと、髙橋はこのプロジェクトにおける建築意匠の詳細を、設計士との協業で模型を組んで検討している。エントランスの共用部や外構など、複合的な視点が求められるものの、チームメンバーと設計士との度重なる打ち合わせによって、土地の豊かな環境を継承しつつ、隣地との調和を踏まえ、品格を表す計らいを表現した、『グラン レ・ジェイド等々力』が生まれた。

Construction

2020年度グッドデザイン賞を受賞。
近年の住宅開発に一石を投じる。

「設計事務所とデザイナーの分業をせずに連なった開発をしたのは、効率性ではなく、一つのものづくりとしての質を優先するため。単に利益だけを追い求めるのではなく、本来あるべきプロセスを踏んだからこそ、結果がついてきました」。デベロッパーとして他社を超えるだけでなく、業界へ大きな一石を投じた髙橋の挑戦。建物と言うハコを作るのではなく、人々のライフスタイルを創る“ライフ・デベロッパー”のプライドを胸に、さらなる高みを目指したいと髙橋は目を輝かせた。2019年3月から販売開始された『グラン レ・ジェイド等々力』は、その事業性とデザイン性をはじめ、全体のコンセプトから細かなアイデアまでの統一感が評価され、2020年度グッドデザイン賞を受賞した。

After story

既存のルールに囚われず、
自由なフィールドだから得られた経験。

机上の利益計算が最優先と思われている業界の中で、このプロジェクトは開発の本質に立ち返って、日本エスコンだからこそ実現できるこだわりやまちづくりを形にしたもの。この企画を担当した当時は、新卒入社してまだ3年目。大きなプレッシャーを感じていましたが、一つひとつのアイデアに時間を使えただけでなく、業界的に類を見ないアイデアに賛同してくれる環境があったおかげで、お客さまにとって、地域にとっての理想を具現化できました。こだわって創ったエントランスの共用スペースで、仕事をしている方を見かけた時は、新しいライフスタイルという価値を提供できたんだと実感したのを今でも覚えていますね。これから先も『グラン レ・ジェイド等々力』のように、他社にはできないような新しい価値をお客さまへ、そして建築業界へ提供し続けていきます。

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